台北から各駅停車に乗り、七堵で降りた。基隆の手前の、観光で降りる人の少ない駅だ。市場に着いたとき、陽はもう低かった。
西日が通りの奥から差し込み、立ち止まった男の影を歩道に長く伸ばしていた。黄色い看板には「七堵家傳營養三明治」とあった。屋台の脇の小さな机では、人が逆光の中に座っていた。
肉圓の店では、鍋から湯気が上がっていた。市場の奥の厨房でも、天井の灯りの下で湯気が立っていた。湯気は、光の中を通るときにだけ形が見える。
食堂の窓際で、女性が通りを眺めていた。テーブルには文旦が置かれていた。
市場を抜けると基隆河に出た。雲が水面に映り、空と川が同じ明るさになっていた。帰りの列車の窓から、架線の向こうに沈む陽が見えた。


