台湾に陽が当たる時。Chishang
大きな木の根元に座って休む人と、田んぼのあいだを伸びる道、遠くの山並み
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池上

臺東縣池上鄉Chishang23°08′N 121°13′EX100F

稲の上を風が渡るたびに、緑が一段明るくなった。

池上は、花東縦谷のなかほどにある米の町だ。古い客車の前に立つ駅名の板には、台東まで四十三キロ、花蓮まで百十三キロとあった。

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店の大きな窓の向こうに、田んぼと山がそのまま広がっていた。窓辺の席の人は、逆光で輪郭だけになっていた。

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九月の稲はまだ青く、穂がそろい始めていた。山の稜線に大きな雲がかかっていた。田んぼのあいだを一本の道がまっすぐ伸び、その先に木が一本立っていた。

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日差しが強く、外を歩く人はほとんどいない。大きな木の下にだけ、人が座っていた。三輪の自転車が、電柱の脇をゆっくり通り過ぎていった。丸い枠の向こうに、さっきの木が見えた。

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木陰の小道を抜けて駅に戻った。帽子の人が、ベンチから線路の向こうの田んぼを眺めていた。青い車両が入ってきて、車掌が扉の前に立った。走り出すと、窓の外を緑がしばらく流れていった。

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AKIRA IZUTSU · 井筒 聖FUJIFILM X100F / LEICA Q3