
台湾の街を歩きながら、そこに流れる光を拾い集めた。
市場の喧騒、午後の木陰、名も知らない路地。人々の営みの中に差し込む光も、広い空の下で静かに揺れる稲穂も。
七堵の市場、池上の稲、台東の木陰、台南の路地。場所は違っても、拾い集めていたのは、そこでしか出会えなかった光だった。
何かを探していたわけではない。ただ、その瞬間の光に足を止め、シャッターを切った。
二度と同じ形では訪れない光と、そこに流れていた時間。
これは、台湾で出会った、何気ない美しさの記録。

暗いところから見ると、光の輪郭がよく分かる。

一時間半だけ降りた町を、西日が通り抜けていった。

通りの突き当たりに、山があった。

稲の上を風が渡るたびに、緑が一段明るくなった。

午後の木陰に、町の時間がたまっていた。

路地を一本入るごとに、光の色が変わった。

北回帰線のすぐ北で、十二月の陽は低かった。

線路の先に、もう山が迫っていた。

日本語でも読める駅の名前に、足が止まった。

最初に着いた町で、最後の日々を過ごした。

暗い通路の先に、出口の光が白く見えていた。