帯広の南に、幸福駅がある。1987年に廃止された国鉄広尾線の駅で、ホームと、当時の姿に建て直された駅舎がある。駅名標の両隣には、「たいしょう」と「なかさつない」とあった。
小さな駅舎の壁は、ピンクの切符で埋め尽くされていた。「愛国から幸福ゆき」の記念の切符に、訪れた人がそれぞれ何かを書いて貼っていったものだ。
駅舎の脇には売店があり、「キップ有ります」の札が下がっていた。
ホームの先には、赤い気動車が止まっていた。線路は少し先で雪に消えていた。
車内に入ると、青い座席が並び、四角い窓の外に雪の畑が広がっていた。運転台の計器は、止まったままだった。
外に出ると、雪の上に小さな雪だるまがひとつ立っていた。横には、柱の長い影が伸びていた。


