美瑛に着いた日は、吹雪だった。車のワイパーが雪をかき、珈琲店の看板がフロントガラス越しに見えた。
自家焙煎の珈琲店に入った。窓辺にポットが置かれ、外では雪が降り続いていた。天窓からは、白い光だけが落ちていた。店の奥には、焙煎の機械と豆の缶が並んでいた。
町の歩道の脇には、紅白のポールが何本も立っていた。雪が積もっても、そこに何があるか分かるようにするための目印だ。米屋の前にも、ポールが並んでいた。
雪は強くなり、ガソリンスタンドの看板も白く霞んだ。風の中を、人が背を丸めて歩いていた。
夜、通りの名前の板が雪をかぶり、その脇で赤いポストが雪に埋もれていた。
翌朝は晴れた。前の日の吹雪がうそのように、空は青く、丘はどこまでも白かった。丘の上に、葉を残したままの大きな木が一本立っていた。
丘のあいだの道は、まっすぐ空へ向かっているように見えた。雪の上に、林が島のように浮かんでいた。
別の丘には、三角の形をしたトウヒが一本だけ立っていた。薄く曇ると、白い丘と空の境目が分からなくなった。
道の脇の雪の林は、枝の一本一本まで白かった。分かれ道を知らせる黄色い標識だけが、色を持っていた。


